2012年10月7日日曜日

リニアワークフロー 画像処理の基礎 露出(Exposure)

リニアワークフローを導入する大きなメリットの一つとして「物理的に正しい結果が期待出来る」という事があります。

露出というのは光量になります。 露出の計算は画像処理の中では比較的簡単な計算、乗算(掛け算)で行えます。

4倍明るい = 4倍にする
露出を1/4にした = 0.25倍する

こんな感じです。

そして、画像処理においてはリニア以外で露出の計算をすると正しい結果が得られません。生活感あふれる感じで申し訳ありませんが、以下、検証画像です。


 一番左の縦の列が実際のカメラで露出を変えて撮影した素材です。右側は各カラースペース毎に画像処理で乗算を行った結果です。

Linear以外のカラースペースでは正しい結果が得られていないのが分かります。
今回は露出だけですが、リニア以外の環境で画像処理を行うとこのような正しくない事が至る所で起きています。リアルな画を作りづらい環境で作業しているという事になります。3DCGやcompositeでも同じです。

少なくとも実写合成系のVFXは、本来リニア以外の環境で作業するメリットは、ほとんどないのではないかと思います。 リアルになりずらい環境で働くアーティストの負担を考えると相当なものではないかと思います。(例えば上のような露出違いの画像を作るだけでも、既にアーティストの感覚を必要とする等。リニアワークフロー導入時の問題点の1つでもあります。現状のほとんどのアーティストはsRGB空間での作業に慣れてしまっている)

そして、アニメの撮影もリニアワークフローいかがですか?ここまで現状のワークフローが一般化し、今の環境に慣れたベテランが沢山出てきてしまっている現状では厳しいかもしれませんが、上の画像でも分かるようにアナログで撮影していた時と同じ光学的に正しい結果が期待出来るのはLinear環境です。昔のカメラを使った撮影と同じ環境がデジタルでも再現出来るんです。光の処理の計算(アニメだと透過光とかですかね?) した場合でも、自然な結果が得られやすい環境です。光を合成する際に「加算」だと強くなりすぎるので「スクリーン」を使用する。これは主にsRGBの空間で作業をしているからとか・・・。リニアワークフローを導入する事で、アナログとデジタルの仲直りのスタート点にようやく立てる気がするのですが・・・。昔のアナログ撮影の視点から今の撮影の環境を見たら、間違いなく今の環境は「間違った環境」です。詳しくは分からないのですが劇場を考えた場合等は、現状の8bitのsRGBでは色域(再現できる色数)も光量もちょっと足りないのではないでしょうか?昔の人がデジタルを嫌うのも、あながち間違っていないと僕は思うんですね。
昔の撮影台を引っぱり出してきて、アナログの人とデジタルの人が協力してLinearワークフローの検証している光景を想像するとちょっとニヤニヤしますね。まずは、x-riteのカラーチェッカーを再現するところからどうですか?
と、色々書きながらTV放送が多い事を考えると最初から最後までsRGBで一貫している今のワークフローが最適な気もしてきました(笑)

リニアワークフローの導入に関してはたまに新卒だけの別チーム構成が頭によぎります。現状に慣れてしまっているプロと比べ、学生や新卒は「明日からこの環境でやって」 の一言で済みますからね・・・。相手にした時のコストが全然違います。本来は全員が理解するべき事ではないんですけどね。「制作環境」の話しですし。中々難しい。

今回、EOSで撮影したRAWを純正ツールで現像してみたのですが、リニアというチェックを入れる所があり、そこそこちゃんとリニアで現像してくれるようです。(数値を確認したわけではありませんが)
CanonさんGJです。一方で出力がHDRやEXRに対応しておらず、最大でも16bitTIF(int)しかなく、HDRを持って行けないのが残念です。精度は落ちても、なんとなくでいいのでHDRを持って行けるとありがたいのですが。後、ホワイトバランス設定にケルビンも欲しいです。

今後、実写の撮影の方はLogが主流になりそうな動きがありますが、どうなってしまうのか少し不安を感じる今日この頃です。Logのままゴリゴリ画像処理を行われてしまうと色々問題が発生しそうで・・・。

2 件のコメント:

  1. sRGBの脱却で一番のネックはPhotoshopだと思うんですけどどうでしょう?

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  2. 32bit floatの機能を強化して欲しいという思いは物凄くありますね(笑)
    でも、プロジェクト用のカラープロファイルを準備することで16bit intでもHDRに対応したPhotoshopによるマットペイントなどのカラーパイプラインを築くことは可能です。僕の案件で亀村さんにお願いしてNuke←→Photoshpのカラーパイプラインを構築してもらいました。マットペインターは普段通りの作業をしてもらいました。

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